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日本の英語教育の根本的な誤りは、「使うことを想定していない」ことにある

「日本人は、なぜここまで英語ができないのでしょうか?」

 

これはなかなか答えが出ない問いです。「日本で暮らしていると英語は特に必要ないから」という意見をよく聞きます。確かにこれには一理も二理もあります。

 

ただ、英語ができるというだけで就職が有利になったり、海外出張の機会が増えたり、昇進のチャンスが高まったりと、英語をできることで得られる利益は相当大きいのですから、もっと上手くなってもいいはずだと思うのです。

 

また、日本人は少なくとも中高6年間英語を勉強しますし、日本全国津々浦々、いたるところに英会話学校もあります。本屋には大量の英語の参考書や問題集が並んでいます。それなのにここまで英語ができないというのも、考えてみれば実に不思議なことです。日本の英語教育は何かが根本的に間違っているのだと考えざるを得ません。

 

それでは具体的には、何がどう間違っているのでしょうか? 

「使うこと」がまったく想定されていない

もっとも根本的な間違いは、実際に英語を「使う」ことがまったく想定されていないことです。

教科書には長い間 “This is a pen.” という文章が一番最初のレッスンに掲載されていました。

 

果たしてこの文章を使うことはあるのでしょうか? ちなみに私は英語が話せるようになってもう35年ほどが経ちますが“This is a pen.”という文章を使ったのはおそらく3回もありません。“This is a red car.” でも同じことですが、自明なことをわざわざ口に出して言う機会などほとんどありません。“You are American.”  “I am Japanese.”  などといった文章は今の教科書にも登場します。「be動詞を教えたい」「不可算名詞を教えたい」という単元の意図はわかるのですが、単元で「教えるべき」ことを無理やり詰め込むため、現実には絶対に使わない文章がテンコ盛りです。

 

文法の授業も「使うこと」に結びついていない

僕自身が中学生の頃に「be動詞+動詞のing形」は、「現在まさに進行中のこと」を説明するときに使うのだ、という説明をしてもらった覚えがあります。いわゆる現在進行形ですね。

そして、普通の現在形の文章を進行形に書き換える問題などを大量にやらされた覚えがあります。

例えば、

現在形: “I play tennis.”

現在進行形: “I am playing tennis.”

現在形: “He studies English.”

現在進行形: “He is studying English.”

というような具合です。

 

そしてここでも、「一体どんな状況で “I am playing tennis.”なんて言うんだろう?」と疑問に思った記憶があります。

 

もちろん実際にこういう表現を使う状況はありうるわけですが、それは物理的にラケットを振り回してテニスをしている最中だけではありません。 “I am working as an engineer.”(僕はエンジニアとして働いている),  “He is studying medicine to be a doctor.” (彼は医者を目指して医学を勉強している)といった具合に、自分が今取り組んでいる課題などを言い表すときに多用されます。

 

ところがこういった具体的は用法や、実際にどんなときにどんな構文が使われるのか?という一番肝心なところがゴッソリと抜け落ちており、文法のための文法学習としか言いようのない例文や問題がずっと続くのです。

こんな受け身は絶対に使わない

例えば能動態から受動態への書き換え問題なども、メカニカルに書き換えることが目的化しているため、実際に相当おかしな問題が続々と登場します。例えばこれ、実際に問題集から抽出した問題です。

 

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