今の教育では英語は身に付けられない
会話がはずまないのはなぜでしょうか
ある大学の先生がこんな話をしたことがあります。「ぼくは海外の学会で、英語で講演したり、発表したりする機会があるのだけれど、それが終わった後のパーティが困るんだよな。まったく話ができなくて……」。
確かに、学会などで話すことは事前に練習もできるし、内容は専門なのでいくらでも話せる。けれどもその後のパーティになると、出席者は家族のことを話したり、趣味やスポーツなどに話が及びます。この先生は自分の大好きなお酒などを手に、彼らが話す輪に入りたいのだけれど、なかなか入れないそうで、「そういう英語こそ身に付けるべきなんだよな……」となんとなく悔しそうに話していました。
Do you have a watch? に対する答えは?
このような話は、海外でも仕事をする日本人の大人から、たびたび聞くことがあります。仕事で英語を使うことはできるけれども、それ以外では使えない。英語を得意としない人には少々不思議に思いますが、このように話す大人は少なくはありません。
学校では英語を一生懸命勉強したし、英語の点数も悪くはなかった。けれども大人になって社会に出てみると、英語を話すことができない。海外旅行に行ってもなかなかうまく使えない。自分たちが受けてきた学校英語教育が悪かったのだ、とついつい思いたくなります。
では、なぜ話せないのでしょうか?
これまでの英語教育ですと、“Do you have a watch?”(時計持ってる?)の答えは、“Yes, I do. ”(はい、持っています)、または“No, I don’t. ”(いいえ、持っていません)が正解でした。しかし、日常の会話では、“Do you have a watch?”(時計持ってる?)と聞かれれば、“Yes, it’s almost twelve. ”(うん、もうすぐ12時だよ)と答えるでしょう。英語に限らず日本語でも、もし“Yes, I do. ”(はい、持っています)と答えたら、聞いた方は怪訝に思うのではないでしょうか。
時計に話を戻すと、実際の会話は以下のように進むのではないでしょうか。
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